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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第38章 春を待つ


「あのね。私も痣出てんのよ。どうせ長生きしませんから」
「だが、俺より四年の猶予はあるだろう」
「四年も一人で生きろと?あんた鬼?」
「しかし……」
「冨岡が死んだら私も死ぬ。それは決定事項」
「…………」

「だから、長生きしなよ」

「……え」
「痣の代償が本当にあるのかないのか、わかんない。そうじゃなくても明日病気で死ぬかもしれないし、事故に巻き込まれて死ぬかもしれない。先のことなんて誰にもわからない」
「…………」
「そんな中であれこれ躊躇するのは変だよ。違う?」
「……そう、だな」
「不安になるのはわかるよ。私もそうだしね。だからこそ、今の私達にできることは、今を幸せに生きることなんじゃない?とりあえず私はあなた亡き後生きるつもりはないので、私を生かしたかったら自分が長く生きることを考えなさいな」
「…………」

「どうしたら私が幸せになるのか。わかってるでしょ?私の幸せは、あなたが居ないと成り立たない」

琴音は義勇に、にこりと笑いかけた。

「俺は……お前と共に生きていいのか」
「何を今更」
「側に、いてくれるのか」
「少しでも長く側にいたい。そう願ってるよ」

今この時この瞬間に、彼女を両手で抱きしめられないことを悔しく思う。

それでも精一杯彼女に向けて手を伸ばした。
細身の身体をぎゅっと己に引き寄せて、慈しむように大切に頭を寄せた。


「ありがとう」


耳元で聞こえる義勇の声は少しかすれていたが、とても優しいものだった。

琴音も義勇の胸元に手を添えてしっかりと彼に寄り添った。



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