• テキストサイズ

言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第37章 秘薬


琴音がゆっくりと目を開けると、泣きまくっている村田と目が合った。

「夜月!!炭治郎が!炭治郎が鬼に……っ!!折角無惨を倒したのに、こんなことってあるかよっ……!!」
「……そっか、わかった。行ってくる」
「夜月!!動けるのかっ!?」
「ねえ、桃色の薬、持ってる?」
「あ、ああ。お前がくれたやつな。鎮痛剤だろ。一つならあるよ」
「ちょうだい。使い切っちゃって」

村田は琴音にもらった巾着から薬を出して彼女に渡す。琴音は薬を飲んだ。


「村田はみんなの支援。炭治郎くんの攻撃から隠たちを守ってあげて」
「お前は」
「大丈夫、なんとかしてみせるよ」

琴音はよろりと立ち上がって、激しい戦いの音がする方へと駆け出した。

左腕は腫れ上がって動かない。右手に小刀を持って走る。周りの状況を見つつ、何かを探しながら走る琴音。


義勇は善逸たちを守りながら奮戦するが、自分も限界だった。失血と手足の震えが酷い。

よろめいたときに炭治郎に狙われ、死を覚悟する。


そこへ現れたのは深紅の羽織。

キィンと美しい金属音がして、炭治郎の背から伸びる管を弾いた。正確な斬撃。そうでなければあの長さの獲物であの強い攻撃は弾けない。


「夜月……」
「ごめん、寝てた」
「炭治郎が」
「わかってる」

ずっと何かを探していた琴音の目が、目的のものを捉えた。

「カナヲちゃん!待機!!」

炭治郎の様子を伺っていたカナヲが、ビクッとして止まる。その場に片膝を付いて、待機の状態になった。

琴音は手に持っていた小刀を鞘に入れた。


「何を……」
「炭治郎くんを人に戻す」
「……え」
「もう攻撃はいいから、冨岡は皆を守ることだけに集中して」
「……琴音」
「あとは私とカナヲちゃんに任せて」

琴音は胸ポケットから小さな木箱を取り出した。見覚えのあるその箱に義勇はハッとした。

「それは」
「いってくるね、……義勇さん」

そう言うと、琴音はカナヲの所に向かって走って行った。

/ 419ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp