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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第36章 さあ、もうひと踏ん張りだ


琴音は少し考えて、義勇の目の前に自分の刀を差し出した。

「はい、これ」
「……?」
「あげる」
「は?」
「その刀よりいいでしょ。柱用だし」
「何を……お前はどうする」
「えへへ」

琴音は笑った。

「そっか。この為に、私の刀は水色だったのかもね」

受け取らない義勇に、琴音は一度刀を鞘に入れて鞘ごと腰から抜く。

「水色なのが嫌だったけど、今は嬉しいな」

鞘を、左手で抜刀しやすいように義勇の右の腰に挿してやった。


「おい」
「……私はもう、大刀を振る力はないの。片腕でも、あなたの方がよほど力強く刀を振れる。使って」

琴音は腰から小刀を抜いた。水色の小振りな日輪刀だ。

「私はこれがあるから大丈夫」
「……いいのか」
「うん。煉獄家を舐めないで。私は小太刀の戦い方もばっちり仕込まれてる。大刀を使うより今はそっちのほうが効果的」

義勇も、琴音の左腕が殆ど動いていないことに気付いてはいた。非力な彼女ではもう重い刀は荷物でしかないのだろう。

「ありがたく、借りる」
「うん。きっと使いやすいよ」
「水の刀だからな」

義勇は持っていた刀をそっと置き、琴音の刀をスラリと抜いた。
『悪鬼滅殺』の刻印が、太陽の光の元で輝く。

……軽い

自分が使っていたものよりだいぶ軽い琴音の刀。疲弊しきっている今、この軽さはありがたかった。


「冨岡、そのまましっかり持ってて」

琴音はそう言うと、「炎の呼吸小太刀・ 盛炎のうねり・連!!」と技を出して連撃を刀に当てた。義勇と自分との力の不均等を、連撃にすることで補う。
刀が合わさる衝撃で、互いの刀が赫くなった。


「行こう!!」


二人は刀を持ち替えて、また戦場へと駆け出した。

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