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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第36章 さあ、もうひと踏ん張りだ


琴音は義勇から少し離れたところで頭から血を流して倒れていた。

長くて綺麗だった髪が半分ほどになっており、義勇から贈られた大切な結紐もちぎれて何処かに飛んでいってしまった。


「……夜月、夜月っ!!」


誰かが自分を呼ぶ声が聞こえるが、目を開けられない。体中が痛い。 

だが、どうやら自分は生きているようだと感じた。回復の呼吸を使い始める。

「しっかりしろ、夜月!!死ぬなっ!!」

涙まじりの声で叫んでいるのは誰だろう。なんていうか、悪いけど正直煩い。凄く聞いたことがある声だ。

「……うぅ……、くっ、」
「気付いたか?!目ぇ開けろ、夜月!!愈史郎、夜月が気付いたぞ!!」
「そうか。流石にしぶといな」
「お前っ!そんな言い方あるかよ!」
「煩いな。さっさと頭部の止血をしてやれ」

琴音は頭に布をあてられているのがわかった。
ゆっくりと目を開く。

「……た、け……、うち」
「痛いのどこだ?頭以外にもあるか?」
「……あち…こち」
「ざっくりしてんなぁ」

ツンツン頭の同期隊士は琴音に苦笑いを見せた。

竹内は医療班の隠を呼び、琴音の頭部を見せた。出血が止まらないため、麻酔をしての縫合となった。

側頭部を縫われる琴音。
頭を強打したからだろう、目眩が酷い。身体を動かされたときに吐きそうになる。
脳震盪を起こしていると判断し、正常化させるために呼吸を整えていった。


何が起きたんだろう
わからない

みんな無事なの?
どれだけの間、気絶していたの?


いろいろと思う事はあるけれど、うまく口が動かなくてぼんやりとしてしまう。


右手、左手、右足、左足……
徐々に動かしながら確認をしていく。悲鳴を上げそうになるくらいに痛いが、全部動く。どうやら骨折はしていないようだ。

縫合が終わると包帯を巻いてもらい、身体を起こす。ぐらりと揺れたところを竹内が支えた。


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