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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第34章 己のすべきこと


無惨がにやりと笑った。

――…しまった!!!

まんまと無惨の挑発に乗ってしまったことに気が付く。しかし、攻撃に転じなければ隊士は背後から食われていた。
技を出せば隙が出来る。琴音の剣は無惨の腕を捉えたが、無惨はまたたく間に回復し、反撃の爪で首を狙われた。

――…回復速度が尋常じゃない!

琴音はギリギリのところで爪を躱した。彼女の鎖骨ら辺から鮮血が舞い散った。


「ぐぅ……っ!!」
「これも避けるか。狛鼠の如き速さだ。だが、私の攻撃をくらったからにはこれで終いだ」

無惨は笑みを浮かべながら琴音に近寄る。
琴音は痛みをこらえてぐぐっと立ち上がり、刀を構えた。

まだ死ねないと脳みそを回転させながら、無惨にたった一人で立ち向かう琴音。

「その速さを使って逃げないのか」
「…………」
「柱は逃げない、か」
「…………」
「弱者を生かすために己が死んだら意味がないだろう。くだらない。全くもって愚か者の集合体だな、鬼殺隊は」

無惨の言葉は琴音に聞こえているが、響くことはない。

自分には信念がある。
誇りがある。
それは、何を言われても決してブレることはない。

「くだらないのはお前だ、無惨」

冷ややかに、その一言だけ言い放った。


無惨と琴音の交戦が始まる。
次へと繋げる有効な手立てを探ろうと、体と脳みそを必死に動かした。

あまりにも広い攻撃範囲。
とてつもない速さの攻撃速度。

己の死がすぐそこまで来ていることをひしひしと感じた。


琴音が死を覚悟したとき、二人の間にベンッと琵琶の音が響いた。

何だ?と琴音が思った瞬間、無惨が消えた。

目視出来ない高速技、というわけではない。
存在そのものが目の前から消えた。驚いて辺りを見回したが、やはり無惨はここには居ない。

次の琵琶の音で自らの位置も変わる。己の意志とは無関係に、先程と違う光景の部屋に移動した。
それにより、これは何者かの血鬼術なのだと認識した。

なにやらめちゃくちゃに周りが動いている。


現状の詳細はわからないものの、取り急ぎ、無惨に付けられた傷と自分の状態を冷静に診ることにした。


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