第34章 己のすべきこと
少しすると炭治郎の意識が戻った。
「はっ!!義勇さん!!」
「起きたか。骨に異常はないか?」
「えーとえーと…はい!打撲だけです」
炭治郎は元気に起きがった。
「あれ?治療されてる。この匂い…琴音さんがしてくれたんですか?」
「ああ」
「そうですか!やっぱり!無事で良かったです」
義勇は炭治郎に金平糖をすっと差し出した。
「琴音さんからですか?」
頷く義勇。
炭治郎は嬉しそうに金平糖を食べた。
「甘い。美味しい」
「…………」
「ん?義勇さん?何か怒ってます?」
「別に」
「??……琴音さん、大丈夫そうでした?」
「ああ。普段のあいつに戻っていた。……俺よりお前を気にかけて、俺より先にお前を手当していた」
義勇の不機嫌さの理由がわかって、炭治郎は笑いそうになった。
「義勇さん、大丈夫ですよ。もし義勇さんの方が重症だったら、琴音さんは義勇さんから治療したと思います」
年下に慰められて、なんだかモヤッとする義勇。
その時、鴉が「カァァーッ!シノブ!カナヲ!伊之助!三名ニヨリ!上弦ノ弐撃破ァァ!!」と高らかに叫んだ。
義勇と炭治郎の目に喜びが走った。
二人は次なる戦いに向けて、水分と糖分を補給してしばしの休息をとった。
炭治郎は鴉が付けてきた手紙を読む。
同じ報を、鬼と戦いながら琴音も聞いた。
……カナヲちゃん、伊之助くん、ありがとう。しのぶちゃん、良かったね。私達のやってきたことは、無駄じゃなかったね……
ドゴォォンと激しい音を立てて、鬼を炎の斬撃で消し飛ばしていく。
「私も死力を尽くすよ、しのぶちゃん。お疲れ様でした。見守っていてね」
琴音の中で、しのぶがようやく本来の笑顔で微笑んだ気がした。