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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第34章 己のすべきこと


「こら!腕、動かしちゃ駄目!」

慌てる琴音に構うことなく、彼女をぎゅっと抱きしめる。

「仇は討った」
「……うん」
「もう開放されろ。怒りからも憎しみからも」
「うん。……ありがとう。もう大丈夫。迷惑かけてごめんなさい」

義勇は微笑みながら琴音の頭を撫でた。

「だから!動かしたら痛いでしょ?!」
「……麻酔が効いてる」
「もうっ!傷口開いちゃえ!!」

琴音は義勇の腕の中で顔を赤くして叫んだ。



炭治郎がううん…とうめき声をあげたので、琴音と義勇はバッと離れた。

戦闘中に何してんだと思う。
縫い終わった義勇の肩に止血剤を付け、包帯を巻いた。腹部も一か所深めの傷があったので麻酔をして縫合する。

自分では届かない背中の打撲を処置し、後の処置は義勇自身に任せた。

再び炭治郎の方へと身体を向けると、鴉が叫んだ。

「琴音!隊士数名ガ鬼ト交戦中!至急救援ニ向カエ!」
「了解!」

琴音は注射器の針を新しい物に取り替えて袋にしまう。薬を片付け、炭治郎の頭の下に入れていた羽織をそっと引き抜いて着る。

「じゃあね、冨岡!」
「死ぬなよ」
「そっちもね!」

にこっと笑う琴音。
いつも通りの彼女だ。

「あ、これあげる」

琴音は義勇の手に小さな紙を乗せ、その上に袋からコロコロと金平糖をいくつか落とした。

「炭治郎くんと食べて」

そう言うと、琴音は鴉の後を追って走っていった。


義勇は金平糖を一つ口に入れる。
優しい甘い味が口に広がった。ふわりと疲れが消えていく気がした。


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