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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第5章 水柱


それから二年後。バリバリと仕事をこなしていた琴音の元に、大ニュースが飛び込んできた。

「ええっ!?冨岡が?!」
「そうなんだよ。確かな筋の情報だから間違いない。近々正式に伝えられるだろうな」

任務後に出くわした村田から告げられたことに、驚く琴音。

「冨岡が……水柱に……」

「ああ。まああいつの功績からしたら不思議じゃないけどな」
「確かにね。いつの間に十二鬼月を倒してたんだろ」
「な。あいつ、俺達に何も言わねぇからさ。つか、俺もうずっとあいつに会ってねぇわ。皆で飯行くときもあいつは来ないし」
「そうねー」
「……お前が誘えば来るかもしれねえけどな」
「どうだろう。来ないときは来ないでしょ。私もしばらく会ってないよ。あ、ねえ!お団子食べたい」

琴音は道端の団子屋を指差す。
村田はやれやれといった感じで頷いた。

店先の椅子に二人で座って話す。二人の間にはお皿があり、白い串団子の上にはたっぷりのあんこが乗っている。

「そっかー……じゃあこれからは冨岡の事『水柱様』って呼ばないとね」
「……だな。いやあ差がついちまったなあ」
「本当だね」
「夜月だって甲だろ?」
「甲になっても、柱とは天地ほどの差があるよ」
「まあな。……入隊は同じでも、やっぱり違うんだな」

落ち込みモードの村田。

「冨岡は頑張ってたから」

それに対して琴音は、寂しさを見せつつも、どこか嬉しそうにしている。

「その頑張りが認められて、よかった」

空を見て、ふふっと笑った。


「意外だな」
「え?」
「あんなに『冨岡には負けない』っていつも言ってたのに」
「うん。それは今も変わらない」
「なら、悔しくないのかよ。折角『追いついた!』って喜んでたのに」
「悔しくないよ。また追かけるだけだから。私は柱にはならないけど、もっともっと技を磨いて強くなることは出来るからね。負けたくないし、負けないよ」

そう語る琴音の目は真っ直ぐ前を見ており、本気でそう思っているのだと村田にもわかった。

……凄いな、夜月は。冨岡も夜月も本当に凄えよ。俺は……こいつらに追いつけるのかな……


村田は艶やかな髪を前に垂らして俯いた。

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