第33章 戦いへ
悲鳴嶼以外、何も聞かされていなかった柱たち。
目の前の大爆発がなぜ起きたのか、誰か起こしたのかもわからない。
ただわかっているのは、皆が心から敬愛してきた産屋敷耀哉が死んだということ。
気が狂いそうなほどの憤りの中、柱たちが無惨に一斉攻撃を仕掛けた。最悪仲間同士で切り合っても構わない。誰かが無惨を斬ればそれでいい。
そんな彼らの渾身の一振りだったが、その技たちが無惨に触れることはなかった。
突然全員の足元に妙な戸が現れ、不気味に音を立てて開かれたその戸の中へと落ちていく。
「目障りな鬼狩り共!今宵皆殺しにしてやろう!」
無惨が叫ぶ。
「地獄に行くのはお前だ無惨!!絶対に逃がさない!必ず倒す!!」
炭治郎が叫び返した。
鬼殺隊士たちは、上下左右がおかしくなっている謎の建物内に吸い込まれた。
琴音は落下しながら技を上手く出して軌道を変えて、途中の階に捕まる。落下による死亡を免れた。
周りを見渡すが、近くには誰もおらず一人のようだ。
……お館様…
ぐっと眉を顰めて歯を食いしばる。
悔しさがこみ上げた。
そこへ琴音を目掛けて襲いかかってくる鬼の群れ。おどろおどろしい姿をした数体の鬼を、炎を纏った琴音の刀が一瞬で切り捨てた。
「うっさいのよ」
琴音の目に涙はない。
代わりに、怒りが色濃く見えた。
落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせる。
「無惨、どこに行った。絶対に探し出してやる」
琴音の生理は三日目。
まだ抜けきってはいないが、おそらく身体を弄りすぎたせいだろう。今日は朝からほとんど出血もなく、早くも終わりかけであることがわかる。
良かったと思う。
十分戦える。
あちこちから飛び出てくる鬼を斬りながら、一人で城の中を走った。
「うわぁぁぁ!」
叫び声が聞こえて、進路を変える。
襲われていた隊士を庇い、鬼を斬った。
「炎柱様!」
「無事っ!?」
「はい!」
「早く誰かを見つけて合流して!単独は危険だよ!」
「ありがとうございます!」
鴉の案内の元、琴音は無惨を探してまた駆け出した。