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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第33章 戦いへ


翌日、琴音は義勇の稽古が始まる前くらいに家を出て煉獄家へと向かった。

義勇と炭治郎に向けて手を振って歩いていく琴音。彼女の髪には青い結紐が揺れている。 

その日、やはり琴音が帰ってくることはなかった。義勇は久しぶりに自室で一人で寝る。

目を閉じてもなかなか寝られない。
ため息と寝返りを繰り返していたが、むくりと起きて屋根に上った。

空には雲がかかっていて、星は見えなかった。


もし、
本当に琴音の家族が星になっているのなら

どうか どうか

琴音を守ってほしい

俺は琴音と共に生きていきたいけれど、
そんな贅沢は言わない

せめて琴音だけでも、
平和になった世界で楽しく生きていってほしい



義勇は雲の向こうにある今は見えない星たちを思いながら、強く願った。


「……Love. 琴音」


小さく呟いて、屋根の上で一人、膝を抱えた。



その翌日も琴音は姿を見せなかった。
稽古が終わっても、夕方になっても帰ってこない。

「琴音さんはお仕事ですか?」
「ああ」
「義勇さんから寂しそうな匂いがします」
「……仕方ないことはある」

義勇は炭治郎と共に晩御飯を食べ、食後の茶をすすりながらふぅ、と息を吐いた。


そこへ庭から飛び込んでくる寛三郎。


「緊急召集ーーーッ!!緊急召集ーーーッ!!大至急産屋敷邸ニ集結セヨ!!!」

炭治郎と義勇は頭で理解するより早く体が動き、刀を持ってまたたく間に走り出した。

「産屋敷邸襲撃ーッ!!急ゲ!!」

二人は全力疾走をして産屋敷邸を目指す。


その頃琴音も同じく緊急召集を受けて走っていた。彼女は義勇宅へ一度帰ろうとしていたところで指示を受け、そのまま進路を変えて産屋敷邸へと向かった。


急げ!!急げ!!
間に合えっ……!お館様っ……!!!


祈りながら琴音は走る。


しかし、あともう少しで屋敷だというところで大きな爆発音がした。
一瞬何が起きたかわからずに唖然とした。

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