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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第33章 戦いへ


夜が更けてから琴音が帰宅をした。

「遅い」
「ごめんなさい」

琴音は素直に謝るが、そこに反省の色はない。どこかぼんやりとしているように思った。羽織を脱ぎながら家の中へ入ってきた。

「もう二人共お風呂入った?」
「ああ」
「炭治郎くんは寝たかな」
「客間だ。寝たかは知らん」
「そう」

琴音は自室へ行き、義勇も付いてきた。
彼女の態度がそっけないので義勇は少し心配になった。

「腹、痛いのか。月のもの来たんだろう」
「ああ、うん。少し痛いかな」

脱いだ上着と羽織を衣紋掛けにかける琴音。若干苛々しているように見えるが、これが生理のせいなのか他の理由なのかは義勇にはわからない。

「お風呂、借りるね」

風呂の準備をして、そのまま部屋を出ていった。
義勇は小さくため息をついた。


義勇が部屋で腕立て伏せをしていると、風呂から上がった琴音が自室へ戻っていくのがわかった。
いつもは鼻唄混じりだったりするのに、やはり機嫌が悪いようだ。

義勇は枕を持って琴音の部屋へと行く。

「冨岡、今日は別でしょ」
「…………」
「炭治郎くんいるんだよ?」
「構わない」

義勇は座って髪を拭いている琴音を抱きしめた。

「どうした」
「…………」
「俺は炭治郎のように鼻は効かない」
「……だから?」
「言ってくれないと、わからない」

義勇は彼女の首にかけられた拭き上げの布を手に取り、優しく髪を拭いてやる。

「腹が痛いのか」
「……大丈夫」
「ならばどうしてこんなに機嫌が悪い」
「私、機嫌悪い?」
「相当に」

琴音は、ふぅと息を吐きだして義勇の胸元に額をつけた。

「ごめん」
「いや」
「心配かけたね」
「帰宅が遅いのは寛容できない」
「ごめんなさい。でも、明日も行きたい」
「…………」
「出来ることなら向こうに泊まりたい」

義勇は眉をひそめた。

「煉獄の家で何をしているのかによる」

「ヒノカミ神楽について調べてる」
「………」
「千君と資料をひっくり返して探してるんだけど、見つからないの」
「何故、調べている」
「鬼舞辻を倒すのに、ヒノカミ神楽……日の呼吸が必要だと解ったから」
「…………」

おそらく確かな筋の情報なのだろう。
琴音に出された特別任務なのかもしれない。

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