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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第33章 戦いへ


稽古場でしばらく身体を動かしていると、塀の外から声がかかった。

「よォ、冨岡」
「…………不死川」
「お前今日は休みなんだろォ」
「ああ」
「なら相手しろや」

許可もなくヒョイッと竹垣を飛び越えて不死川が庭に入ってきた。

「休みなのだが」
「隊士の面倒見なくていいだろが」

不死川はとことこと歩いて庭を横切り、縁側に刀を置いた。

「お前は」
「俺も休みだァ」
「そうか」

義勇は木刀を不死川に投げた。庭に出て二人は構える。

「さあて、ぶっ殺してやんよォ」
「…………」

いきなり訪問してきての、殺す発言。正にチンピラ。
だが、義勇は特に何も言わない。

突然の柱稽古が始まった。

風と水が戦い合う。いきなり全精力をぶつけ合う柱二人。その勢いで屋敷自体がビリビリと震えた。
激しくぶつかり合う闘気に、部屋で寝ていた琴音も飛び起きて刀を取った。

「何事っ?!……うっ!」

そしてうずくまる。
腹と腰が痛い。

座り込みながら気配を探って、戦闘相手が不死川と判断をした。

「いたたた……、もう、驚かせないでよ。え、なに?庭で喧嘩してんの?」

とりあえず敵ではなさそうなのでほっとして、のそのそと隊服に着替え始めた。

腹の痛みと猛烈な怠さに顔を顰める。間違いなく昨晩の疲労に違いない。
同じことをしたのに、いやむしろ義勇の方が何倍も身体を使っていたのに、何故彼はこうも元気でいられるのか。

腰をさすりながら、布団を畳んだ。

不死川に挨拶をした方がいいのか迷う。
ただ、自分が今よろよろと出ていっても迷惑をかけるだけな気もする。元気だったら自分も稽古をつけて欲しいくらいだが、この状況だったら激しい稽古は無理だろう。
一先ず様子を見ることにした。


時刻は昼過ぎくらいだった。
あまり食欲もなかったが、とりあえず千代に声をかけて軽く食べ、彼らの昼ご飯の相談をする。
不死川が昼を食べていくのかわからないため、人数調整がしやすいものを頼む。食べていかないだろうとは思ったが、万一ということもある。もし余ったら夜ご飯に回すとこになった。


琴音は身支度を終えると、小刻みに振動が続く家の中で大人しく薬を作り始めた。


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