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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第32章 任務完了※


風呂を終えると琴音の部屋に布団を敷いて二人で入った。

「あ、片付け……」
「朝でいい。俺がやる」
「でも」
「寝るぞ」
「はい」

義勇も相当眠かった。
琴音をぐっと自分に抱き寄せる。優しくて甘い口付けを、琴音の桃色の唇に落とした。

「おやすみ」
「おやすみなさい」

二人は目を閉じるとすぐに寝付いた。

疲労と暖かさと幸せ。
殺伐とした生活の中に、こんなにも穏やかな時間を過ごせようとは。
お互いがお互いに感謝をした。



夜が明けると義勇は目覚めた。
睡眠時間は短かったが、よく寝られたのだろう、思いの外スッキリしていた。

隣の少女は、当然のことながら気持ちいい程に爆睡している。
起こさないようにそっと布団を抜け出して、己と人形とをすり替えた。

自室に行って戸を開ける。
立ち込めている情交の香りを外へと逃した。
休みではあるがいつものように隊服に着替え、汚れた敷布や着物を纏めていると千代がやってきた。

「おはようございます」
「ああ」
「朝餉はいかがいたしましょう」
「そうだな…、琴音は昼まで起きてこないだろうから一人分でいい」
「かしこまりました。……そちらのお洗濯、しましょうか?」
「いや、これはあいつがやる。お前にやらせると煩いんだ」

義勇がそう言うと、千代はクスクスと笑う。

「気にしなくていいのに。恋人なのだから当たり前の事でしょうに」
「…………」
「まあ、琴音さんの気持ちも、わからなくもないですけどね」
「そうか」
「冨岡さん、ちゃんと手加減してあげてくださいよ?」
「……わかった」

千代は台所へと歩いていった。

義勇は洗濯物をひとまとめにして琴音の部屋に運ぶ。琴音は義勇が部屋を出入りしても全く起きる気配がない。規則正しい寝息が聞こえていた。

体調を心配して寝顔を覗き込んだが、顔色は悪くない。兎の人形をぎゅっと抱いて寝ている。


義勇は稽古場で自主稽古を始めた。
動き始めるとなかなかに体が怠かったが、それでも折角の休みなので自己研鑚に努めた。


琴音を守ると誓った。
自分は強くならねばならない。


義勇は力強く刀を振るった。

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