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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第30章 好きと苦手


半分くらい食べると、「もう無理」と琴音が言った。まあ頑張った方だろう。
義勇も匙を下ろした。

「でも、あと一口、頑張る」

琴音がそう言ったので、義勇は匙を近付けた。しかし口を開かずに義勇をじっと見つめる琴音。

「?」
「……さっきの、やってぇ」

そう言われて義勇は少し驚いたが、少し笑ってお粥をぱくりと口に含んだ。
そして優しく琴音に口付ける。ゆっくりと粥を押し込んでやった。

「えへへ、ありがと。美味しい。ご馳走さまでした」

お粥を飲み込んだ琴音が照れくさそうに笑った。その姿が可愛くて、義勇は再度口付けをする。
琴音の肩に手を置いて、熱い琴音の唇を何度も吸う。琴音も嬉しそうにその口付けを受け入れていった。

「頑張ったな。偉いぞ」
「うん。いっぱい食べた。ありがとう」

義勇は琴音の頭を撫でると身体を離し、すっかり冷めてしまった自分の夕餉を食べる。
食べ終わると義勇は琴音の残した粥も食べて食器を下げに行く。

食べたあとは手を繋いで眠った。
そして義勇は朝帰宅して鍛錬に戻る。

これを三日ほど繰り返した。
義勇の滞在を、しのぶは歓迎はしないものの認めてくれた。
しのぶは「冨岡さんといると琴音がとてもよく食べてくれますので。ねぇ?」とにこやかに笑っていて、義勇は内心ゾクリとした。



採血から1週間程して、琴音は動けるようになった。激しい動きをするとまだふらつくが、日常生活は問題なく送れるようになったため、帰宅の許可が出た。義勇の家に帰ることとなった。

「しのぶちゃん、ありがとうね」
「いえ。琴音、お疲れ様でした」
「うまくいってよかった。あとは祈るのみ、かな。いろいろと」
「そうですね。いろいろと」

義勇にはわからない会話をしながら、女子二人が笑う。

「お世話になりました。またね」
「ええ、また」

ペコリとお辞儀をして、琴音は蝶屋敷を出ていく。義勇も彼女の後を付いていった。

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