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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第1章 同期


まだあまり実戦で役に立たない新米隊士は、こうした雑務にも駆り出される。今回、村田と竹内は琴音の面倒を見ろとの指令を受けた。

……何で俺らなんだよ。こいつ女なんだから女隊士にやらせろよな

村田は胡座の上に肘を置き、頬杖を付きながら眠る少女を見る。彼のサラサラな前髪が、顔を傾けたことで目にかかった。

……こいつ、小せえな

彼女の枕の上方に置かれた日輪刀は、大人と同じ大きさ。よくこれを持って戦えるもんだと感心する。腕の長さ的に、腰に挿したままでは抜けないだろうと思う。


不意に、琴音の目元がピクリと動いた。

「ん?起きるか?」

しかし、目にぎゅっと力が籠もるだけだった。

「おい、夜月。聞こえるか?起きろ」
「……、ぐ……、っ、……うぅ…、」

細い眉が寄せられ、彼女の口から苦しそうな声がする。

「どっか痛いのか?しっかりしろ!」
「……お父さ…、……お母……ん、……っ…、お…兄ちゃ……」
「夜月……」

はぁはぁと呼吸を粗くして、体をよじる。

「お、おい、動くな」

村田は琴音の肩を押さえる。
のしかかるような体勢になるが仕方ない。

「ぐぅ……や…め……、……じぃ…ちゃ……」
「おいっ!しっかりしろ!もう大丈夫だから!」
「っ!!………え、あ、……はぁ、はぁ、」
「気付いたか」

琴音が目を開け、ホッとする村田。
自分の目の前で開かれた彼女の漆黒の大きな目に、一瞬吸い込まれそうになった。

「……あの、…………あなたは?えっと……」
「あ、……あ!悪いっ!!!」

驚いた顔をする琴音に、村田は自分の体勢を思い出して慌てて飛び退く。

「お前が暴れそうだっから、つい」
「いえ……。あの、ここは?」
「んー、なんつったらいいかな。休憩させてもらえる場所だ。後で説明してもらえると思うよ」
「そうですか……」
「怪我はどうだ」
「あちこち痛いです」
「まあそうだわな」

「……………」
「……、…………」

黙り込む二人。

「あー……、選別突破おめでとう」
「………他の皆は死んだんですね」
「まあ…な」
「…………守れなかった。誰も」
「……………」

悔しそうに眉をひそめる琴音。
村田にはかける言葉がない。彼もまだ十三歳。こんなときになんと言えばいいかわからなかった。

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