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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第29章 そっと、ずっと


水柱による柱稽古。

まだ彼のところまでくる隊士は少ない。

義勇は隊士に技の向上アドバイスをしている。
対人スキルが底辺である義勇は、多数相手の稽古だと何をどうすればいいかわからなくなるため少人数制。
来たい時に来て、指導を受るというスタイル。宿泊は無し。そんな感じで柱稽古をしていた。


指導しながら、義勇は毎回思う。

……夜月は本当に、驚異的に飲み込みが早かったんだな

彼女に指導したとき、彼女は義勇の言ったことをすぐにやる事が出来た。完璧にやることは出来なくても、理解した方向性を示し、なんらかの形で刀に乗せていた。


だが、一般隊士たちはそうもいかない。何度伝えても出来ない。同じ失敗をくり返す。何故そうなってしまっているのかを理解出来ていない。
思わずため息が出そうになってしまう。

……何故、こんな容易なことがこんなにも出来ないのだろう

自分の言葉が足らないのもあると思う。
それに関しては申し訳ない。が、お前たちももっと頑張れよとも思う。


「違う、遅い。その先だ」
「……?えっと、」
「手首、早く。切っ先」
「こうですか?」
「違う。もっと、回せ。こうだ」
「こうですか?」
「……違う」

義勇は言葉が下手な分、自らやってみせて隊士を導いた。

隊士たちもやや困惑しながら義勇に教わる。
義勇は水以外の隊士にも指導をした。基本はどれも同じだし、派生させた特殊な呼吸でない限り、一度見れば改善点はすぐにわかった。

ただ、それを伝えるのが難しい。
上手く伝えられなくてもどかしいが、それでも、出来る限り丁寧に指導していく。


自分も次へと繋いでいくのだ、と言い聞かせながら。


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