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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第29章 そっと、ずっと


そこへ、「ごめんくださーい」「水柱様ー、稽古お願いしまーす」と屋敷の外から声がした。数人の隊士の気配。

「お前はゆっくり寝ていろ」
「ちゃんと柱稽古、してるのね」
「…………」
「偉い偉い。しっかり指導してあげて。私はゆっくり寝てるから大丈夫よ。お気になさらず」

琴音は笑顔を浮かべて、自分からスッと身を引いた。義勇は琴音を気にしつつも立ち上がる。

「何かあったら呼べ」
「わかった。ありがとう」

義勇は部屋を出ていった。


義勇がいなくなると、琴音はふぅと息を吐き出した。
赤くなった頬を両手で包む。


……男前すぎるのよ


何度見ても、何度口付けされても、間近で見る義勇になかなか慣れない。
別に顔が好きで付き合っているわけではないのだが、本当に自分はあの顔に弱いのだと思い知らされる。


……朝、蝶屋敷でお風呂入ってきてよかった


そんなことを考えながら、琴音はだるい体でのそのそと立ち上がり、部屋着に着替え始めた。

人形を連れて、義勇の敷いてくれた布団に潜り込む。布団はふかふかで、いつでも帰ってこられるように準備をしてくれていたのだとわかった。


大切にしてもらえているのだと実感し、改めて嬉しく思った。


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