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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


帰宅して昼餉をとり、準備をして琴音は蝶屋敷へ出かけていった。
結局琴音が義勇の家にいたのは一日だけ。また会えない日か続くのだ。


「ごめんね、義勇さん」

出発前に、琴音は至極申し訳無さそうに義勇に謝った。義勇は何も言わずに彼女を強く抱きしめた。抱きしめ合い、部屋で何度も何度も口付けを交わした。


琴音が去ってしまった後、どうしようもない程の寂しさが込み上げた。そんな想いをかき消すかのように、義勇はがむしゃらに鍛錬をする。
夜も眠れなかったので、夜通しで鍛錬をしていて、気づいたら稽古場で転がって寝ていた。


……何してるんだ

差し込んだ朝日で目が覚めた義勇は、むしゃくしゃしながら起き上がり、心を落ち着けるために稽古場に座って瞑想した。


するとそこへ「ごめんくださーい!冨岡さーん!」と明るい少年の声がした。
義勇が驚いて固まっていると、了承も得ずにヒョコーッと顔を出して入ってくる炭治郎。

ここから四日間、義勇は炭治郎に付きまとわれることになる。
そんな経験が皆無の義勇は、ひたすら炭治郎から逃げ回って端正な顔がやや壊れるほどに戸惑いまくる。そのてんやわんやの日々は琴音が居ない喪失感を良くも悪くもかき消してくれた。


付きまとわれること四日目。
根負けして胸の内を語る義勇。琴音にすら話したことのない、辛い過去を淡々と話した。
そして炭治郎の「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」という一言で、親友から頬を張り飛ばされた衝撃と痛みを思い出した。
切れ長の目を大きく見開く。


―――『お前も繋ぐんだ、義勇』


頭に響く、錆兎の言葉。自分の未熟さを痛感し、ギュッと目を閉じた。

俺は何をしてるんだ。
俺は何をしていたんだ。
生かされた俺は、今出来ることを精一杯やって、次に繋がねばならない。


琴音は炭治郎に教えてあげられることがあると言ったが、実際は炭治郎に教えられた義勇。

柱稽古をすることを決意して、強い意志を持って炭治郎の方を振り返った。

が、「義勇さん、ざるそば早食い勝負しませんか?」と、これまた奇妙奇天烈な提案をしてくる炭治郎に唖然とする。

しかし何気に天然要素をもつ義勇。
なんで?と疑問を持ちつつも、しっかり炭治郎と早食い競争をしたのであった。


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