• テキストサイズ

言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


琴音は、しばし目を閉じて瞑想する。
技の完成形のイメージを頭に思い描く。

……炎と水を均等の力で。でも弱くなるのではなく、最大の力同士で合わせるんだ。炎と水は本来逆のもの。相殺し合うことで新たな爆発を生むんだ……

何度も脳内で技を放ち、琴音はゆっくりと目を開いた。


「……いきます」

静かに呟いて、構える。



「混合の呼吸…
―――“disappear(消滅)”!!」


一撃目。炎が激しく弾けた。
二撃目。水が大きくうねり炸裂した。
そして三撃目。琴音の姿が一瞬消えた。

体を反転させるところまでは見えた。
そこから速さが一気に上がり姿が消え、何も纏うことなく鋭い一閃を薙いだ。
刀を振り抜いた後で、これまでの比ではない爆音と衝撃波が走る。彼女の長い髪と袴の裾が大きく揺れた。


「え…へへ……出来たぁ」

ふらっと体勢を崩す琴音。ぱたりと土の上に倒れた。

慌てて駆け寄る義勇。
抱きかかえてみると琴音には意識があり、うっすらと笑って義勇を見ている。義勇はホッとした。

「凄いな」
「あり、がと……、冨岡のおかげ」
「お前にしか出来ない技だ」
「えへへ」

琴音はまだ刀を離さない。それに気付いた義勇がそっと手を添えて刀を受け取り、鞘に入れてやる。

「凪に勝てるかな」
「どうだろうな」
「やってみたい。戦わせてよ」
「今度だ」
「むぅ……、まあ私もちゃんと毎回出来るように鍛錬しなきゃ。成功率低すぎ」
「今度だ。今日は終いだ」
「はぁい」

義勇は鴉に千代への連絡を頼んだ。
今日はもう琴音に家事をさせたくなかった。


「冨岡に勝ちたいなぁ」
「戦う相手が違う……」

主旨が変わってきている琴音に苦笑する義勇。
えへへと笑う琴音。


……先程の技。凪で凌ぎきれるか、正直なところわからない。あの一瞬、こいつは音よりも衝撃波よりも速く動いた


義勇は、己もより深く鍛錬をせねばと思った。


/ 419ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp