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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


「無理をしすぎだ」

隣に座る義勇が静かに語りかけた。
琴音は目を閉じたまま、その優しい声を聞く。義勇がどんな表情をしているかわからないが、まあきっといつも通りの無表情なんだろうなと思う。

「はは……、そうかもね……」
「そんなに命を縮めてどうする」
「どうするもなにも、鬼を倒すんだよ」
「……………」
「それが出来るなら、私の命なんてどうでもいい」
「……どうでもよくはない」

義勇は、先程琴音が書いていた紙を見た。
よくわからない数値や記号が多いが『目眩、倦怠感』というのは読めた。
今の彼女の症状なんだろうと推測する。

二人はしばらく無言で休憩をした。
一度温まった体も冷めてきた。上着や羽織を着てこなかったことを義勇は後悔した。持っていれば琴音にかけてやることができたのに。


少しすると琴音の目が開いた。

「……よし、治った」
「治ってないだろう」
「あはは、もう大丈夫」
「駄目だ。帰るんだ」

琴音は自分の周りに散らかした筆記具などを布袋に入れ、立ち上がる。

「冗談でしょ?ここからよ」
「…………」
「この状態でどこまで動けるかも見てるの」
「どういうことだ」

「戦いの中でへばっちゃ意味ないでしょ。だから、毒を入れる最後の日を決めて、その後は戦いに備えないと。今これだけ症状が出てるから、そろそろ止めないといけないかもしれない」
「ならもう止めろ」
「や……あと一回くらいいけそうな気がするんだけどな。明日入れてこようかな」

そう言いながら体を動かし始める琴音。その動きは軽やかで、とても目眩などがあるとは思えない。

くるくると宙返りをして、木刀を振る琴音。可憐な女剣士だ。


「冨岡」
「なんだ」
「ちょっと見てほしい技があるの」
「?」
「上手くできるかわかんないけど、見てくれる?」
「ああ」

琴音はそう言うと、日輪刀に持ち替えた。
義勇はやらせていいものかわからなかったが、もし倒れたらすぐに助けるつもりで了承した。

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