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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


「お願いします」
「来い」

義勇に向かって飛び込んでいく琴音。その踏み込みは速くて鋭い。義勇は琴音の打撃を受けようと防御の構えをとるが、そこへ拳が打ち込まれることはなかった。

「……!」

彼女は攻撃を出すことなく、義勇の目の前で急ブレーキをかけて横回転し、義勇の背後へ回り込んだ。
自分の殴打が義勇に効かないことなど百も承知。真っ向勝負などするはずがなかった。

回転力を利用して、背後から蹴りを放つ。

すぐに反応して体勢を低くして蹴りを避ける義勇。避けながら琴音の軸足を狙って足払いを繰り出した。

それに気付いた琴音は空を切った足の起動を変えてすぐさま飛び退く。飛び退きがてらまた踏み切って飛び込み、低姿勢になっている義勇を上から肘打ちで狙う。

あまりの速さに義勇は躱すことが出来ず、ギリギリのところで肘打ちをなんとか払った。

予想以上の強さに義勇は驚いた。


実は、煉獄家は体術に力を入れていた。
勿論剣術も一流だが、武術の基本は体術だと槇寿郎はいつも口にしており、琴音も幼い頃から体術を叩き込まれている。


「怪我なんかしないから、本気でおいでよ」

にやりと笑う琴音に、義勇の闘争心もくすぐられる。そういえば前に一度腹に殴打を食らったことを思い出した。


……これは、結婚後は大変だ

夫婦喧嘩が派手になることが予想された。


力はないが、とにかく速い琴音の攻撃。
連撃を受けている隙に懐に潜り込まれ、左腕を取られた義勇。そのまま投げられそうになるところを踏みとどまり、逆に袈裟を取って投げ飛ばす。

投げたその時の軽さに驚く。投げられた琴音がにやりと笑うのが一瞬見えた。
彼女は投げられた振りをして上手く着地し、低い体勢のまま義勇の脛に一発蹴りを入れる。

「…っ!」

義勇が顔をしかめた。琴音はそのまま体を跳ね上げて飛び起き、矢のように首元に肘を当てに行く。もちろん首は外して鎖骨ら辺を狙う。

しかし義勇は体を反らして攻撃を避け、琴音の肘をパシッと掴んだ。琴音の左手の打撃も当たるギリギリで義勇が掴み、近距離でのにらみ合いになった。

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