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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


「美味い」
「ありがとう」

豪華な朝餉ではなかったが、義勇は嬉しかった。何より厨房で料理をする琴音の姿がまるで新妻のようで、幸せで仕方がなかった。

「……ふふ、なんか新婚さんみたいだね」

頬を染めて、小さく呟く琴音。同じようなことを考えていたようだ。照れくさそうにしながら、「なんてね」と言って食べ終わった食器を重ねた。

「いずれ、そうなる」

重ねられた食器を持って義勇が立ち上がった。表情はいつもどおりだが、嬉しそうにしているのがわかった。

「これだけ出来れば、十分だ」
「お嫁さん試験、合格?」
「ああ」

義勇は流しに食器を運んでくれた。

「ありがと。義勇さん」
「いや」
「味付け、希望とかあったら教えてね」
「今日のでいい。お前が作ってくれれば何でも嬉しい」

義勇は台所で琴音に口付けをした。

本当に新婚なのではないかと思うほど、朝っぱらから糖度の高い二人。他の隊士がこれを見たら胸焼けを起こしそうな程だ。


「片付けしたら、稽古していい?」
「ああ」
「ありがとう、よろしくね」

にこっと笑う琴音。どうやら甘い時間は終わりのようだ。


片付けが終わると稽古着に着替えて、二人は家を出た。義勇は隊服の白シャツとズボン。家の中だと呼吸を使いにくいので近くの山へと向かった。

拓けた場所に行くと、それぞれ体を動かす。

「体、しんどくなったらすぐに止めるぞ」
「はい」

琴音は筋を伸ばしながら呼吸を繰り返し、集中を高めていく。

「冨岡、準備がてらまずは軽く組み手しない?」
「体術か。何故だ」
「しばらくやってないから」
「構わない」

そういえば琴音とは剣術以外で鍛錬をしたことないな、と義勇は思う。彼女がどんな攻撃をしてくるのか、楽しみに思った。

刀や木刀を横に置いて、素手で構えあう二人。

男と女じゃ圧倒的に男が有利な体術。
怪我をさせないようにしなければ、と思った。


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