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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第28章 女の子だって


目が覚めた琴音は「顔洗ってくるね」と部屋を出ていった。

義勇はのっそりと人形棚の方に行って、白兎を見つめる。

「お前のせいで大変だった」

そう言って人形のおでこをつつく。八つ当たりをされた兎が少し揺れた。

ここの人形には、全て食べ物の名前がついているのか?と義勇は思った。

煉獄家からちょこちょこ連れられてくる人形たちで、棚の上は賑やかになっていた。



「今日、千代さんは?」

戻ってきた琴音が義勇に聞いた。

「……連絡していなかった」
「そっか。なら朝ご飯作るね。食材、勝手に使っちゃっていいかな」
「お前が作ってくれるのか?」
「簡単なものだよ。期待しないで」
「する」
「もうっ!」

琴音は寝間着の上に部屋着を羽織り、台所へと去っていった。

思わぬ形で彼女の料理を食べられることになって義勇は嬉しく思った。機嫌よく身支度を整える。


義勇が着替えて台所に行くと、軽快な包丁の音が聞こえた。料理をする琴音の後ろ姿を、入り口からそっと見つめた。

「……見られてるとやりにくいんですけど」

流石、気配で気付いていたようだ。

「気にするな」
「お部屋にいてよ」
「見ていたいんだ」
「何も面白いことはないよ」
「いいんだ」

手を止めないままに喋る琴音。手際よく味噌汁を作っていく。

米が炊きあがるのを待つ間に調理器具も洗い、あっという間に朝餉が出来た。

「あと少し、お米蒸らすね」
「速いな」
「そう?味の保証は出来ないからね」

そう言って笑いながら琴音は台所を出て部屋へと向かう。部屋着に着替えて身仕度を整えた。

義勇がいい匂いが立ち込める台所でずっと待っている姿をみてクスッと笑う。

「成長期の子どもみたい」
「腹が減った」
「はいはい。すぐご飯にしましょうね」

義勇も手伝って、朝餉をよそっていく。前よりは多少上手くお玉を使えている気もした。

部屋で共に食べる。
朝餉のメニューは葉野菜の炒めものと浅漬け、根菜の味噌汁だった。あの短時間でしっかりと味も染み込んでいる。
味噌汁の中に入っている蓮根もちゃんとアク抜きをされていて、料理の手順をわかっていないと出来ないものだった。


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