第26章 仲間
「確かに、ずっと持ち歩いているから傷みは激しいな。そろそろ穴が空きそうだ。修復、頼めるか」
「……はい」
「どうかしたか?」
「ううん」
琴音が顔を赤くしている理由がわからずに、義勇は首を傾げた。
「ありがとう、義勇さん」
琴音は繋いでいる手をきゅっと握った。
「? なにがだ?」
「なんでも!えへへ」
琴音は嬉しそうに笑った。その可愛い笑顔を見て、よくわからない義勇も微笑んだ。
私、この人のこと
本当に 本当に
どうしようもないくらいに
たまらなく好きなんだな……
琴音は、胸が苦しくなるほどの愛を感じた。
私という存在を、大切に思ってくれてありがとう
好きになってくれてありがとう
出会ってくれてありがとう
生きててくれてありがとう
溢れ出す幾つもの『ありがとう』を心の中で告げた。
二人は家までの夜道を、幸せの中で歩いた。