第26章 仲間
四人は鰻屋の暖簾をくぐり、同じ席についた。琴音と義勇が横並びで、向かい側の席に村田と竹内が座る。
琴音は嬉しそうに笑っている。
「好きなのどうぞ!特上かな?」
「いいのか?」
「どうぞどうぞ!私の財布じゃないし。あはは」
「ならお言葉に甘えて」
村田が笑いながらお品書きを見る。
竹内も楽しそうに琴音に話しかけた。
「お前は何にする?夜月」
「私は並」
「え、そうなのか?」
「特上なんて多くて食べらんないもん」
それぞれ決めて、まとめて竹内が注文した。
「いやー、本当に久しぶり!会えて嬉しいよー」
「夜月が柱になってから、全然会えなくなっちゃったもんな」
「そうだよね!もう、柱忙しすぎだよー。あ、ねえ村田、あのあんみつ屋さん、新商品出たんだよ!」
「そうなのか?」
「抹茶の白玉が乗ってるのよ!」
「へぇ!でも、それ白玉じゃなくね?緑玉だろ」
「あはは!確かに!」
お茶を飲みながら三人でわいわい話す。義勇は静かに話を聞いている。
「それにしても俺らだけになっちまったな、同期」
「あんなに居たのにな」
「そうだね。沢山でご飯食べたのが懐かしいねぇ」
「でもよ、四人中二人が柱って、俺らの同期凄くね?」
「そういう村田くんの階級は何なのかな?」
「……聞くな」
「ふふふ」
村田はそっぽを向き、竹内も自分に話が来ないように目をそらした。
彼らの同期は、怪我などで戦線離脱を余儀なくされた者が多く、現役の隊士はこの四人だけになっていた。勿論死んだ者も沢山いる。
「お前らは、やっぱり特別凄えよ」
「村田と竹内も凄いよ。ちゃんと生き残ってんだから。ねえ?」
琴音が義勇に話を振ると、義勇は「ああ」と言った。
そんな様子を見て、村田が琴音に聞く。
「えっと……、確認していいか?」
「ん?なに?」
「言えなかったらいいんだけどさ。冨岡と夜月って……、その……」
村田の聞きたいことがわかって琴音はちらりと義勇を見る。手を繋いでいるところを見られたので確実にバレているのだが、一般隊士に公表してもいいのか迷ったからだ。
「付き合っている」
義勇は無表情のまま、そう答えた。
当然だろうといった感じにきっぱりと述べる義勇に皆、少なからず驚いた。