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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第26章 仲間


家までの帰り道。
少しゆっくりと歩いた。

義勇は、荷物を持っていない方の手を琴音の手にそっと絡めた。
義勇は相変わらずの無表情。琴音は嬉しそうに笑った。

「えへへ。義勇さんの手、あったかいねぇ」
「お前の手が冷たい」
「あはは」

義勇は大きな手で彼女の手をギュッと握る。

「貧血か」
「少しだけね」
「歩けるか」
「平気だよ。ありがとう」

「夕飯、何か食べて帰るか」
「千代さんは?」
「今日は来ていない」
「そっか」

現在は忙しくないので、最近彼女には休んでもらうことが多い。

「じゃあ…、」
「甘味は駄目だ。栄養を摂れ」
「ちぇ」
「鰻だな」
「いいけど」

義勇に連れられて鰻屋へと行く。
すると店の前で知った顔に出会う。

「あれ?村田と竹内?」
「え?夜月と、冨岡?」
「こら馬鹿、村田!……炎柱様、水柱様、ご無沙汰しております」

竹内はバッと頭を下げて礼を取り、村田も慌ててすぐに頭を下げた。

「いいよ、ほら顔上げてよ」
「ですが」
「いいの!久しぶりだね。敬語もいらないよ」
「あ、ああ」

村田と竹内は少し戸惑いながら顔を上げた。

「二人も鰻?豪勢だね」
「戦いの前にいいもん食っときてぇと思ってな」
「わかるわかる!元気出るしね」

「あー…でも、夜月達がここ行くなら俺らは店変えるよ」
「え?なんで?折角久しぶりに会ったんだから一緒に食べようよ」
「や……、でもよ」

村田と竹内の目線が、二人の繋がれた手へと向くいた。それに気付いて、慌てて琴音が手を離そうとしたが、義勇がぐっと力を入れて離させない。

「お邪魔しちゃ悪いし。なあ村田」
「お、おお」
「え…、ちょっと」

琴音が止めようとすると、義勇が声をかけた。

「俺たちは構わない」

珍しくそんなことを言うので、村田と竹内はたまげた。琴音も意外そうな顔をしたが、すぐに嬉しそうに笑う。

「ほら、冨岡もこう言ってるし。一緒に食べよ?ね?」
「冨岡達がいいなら」
「いいよー!久しぶりに会えた記念で奢ってあげるよ!冨岡が」

笑いながら琴音が義勇に「ね?」と言う。義勇は、なんで俺がと言いたそうにやや不満そうな顔をしたが、こくりと頷いた。


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