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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第3章 戦いの先に


「ねえ、冨岡。見て!」

琴音が右手を義勇の前に上げて「階級を示せ」と力を込める。そこに浮かび上がったのは乙(きのと)。義勇は驚く。

「……この短期間で。信じがたい」
「えへへ!凄いでしょ?これで冨岡に追いついた!私、冨岡には負けたくないの」

琴音は、どうだ!と言わんばかりに胸を張る。
しかし、義勇もスッと右腕を出し、ぐっと力を込めながら「階級を示せ」と呟く。浮かんだのは甲(きのえ)。
義勇も負けじと文字を琴音に見せてきた。

「……なっ!」
「お前はまだ俺に追いついてない」

こうした張り合いをするところは、義勇もまだまだ子どもである。

「くぅー……!!あーもう、悔しいっ!!」
「ちなみに乙から甲になるまでの昇格条件はかなり厳しい。雲泥の差だ」
「だぁぁぁー!!!」

琴音は畳にひっくり返り、バタバタと手足を動かして幼子のように愚図る。

……しかし、この成長ぶりは凄い。二年の差がある同期隊士を一気に抜き去ったのか……

「お前、何か特別な修行してるのか。この短期間での急成長はなんだ」
「…………」
「拗ねるな」
「………拗ねてないもん」

どこからどう見ても拗ねまくっている琴音が、むくりと身体を起こす。

「半年前から炎柱様の所で修行してる」
「炎柱……煉獄槇寿郎か。そうか、お前、炎だったな」
「うん」
「なるほど、炎柱の継子になったのか」
「継子じゃないけどね」
「……?」
「修行してるだけだよ。炎柱は代々煉獄家の人がなってるからさ。継子は基本的に柱候補でしょ?柱にならない私は、継子にもならない」
「炎から何か派生させればいい」
「私は、炎の呼吸が好きなの。別に柱になりたいわけじゃないしね」

柱になる気は無いと聞いて、少し驚きつつ、琴音の話に耳を傾ける義勇。
彼女は目をキラキラさせて楽しそうに話す。彼女の急成長の理由がわかった気がした。充実した稽古が出来ているのだろう。

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