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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第25章 柱合会議


「お館様に寄り添って、癒やして差し上げる。それが出来るのはあまね様だけなのです。他の誰にも出来ません。私が作る薬の何億倍も効果のあることなのですよ」
「………はい」
「『どうしたらよいか』ということでしたら、引き続きお側にいて差し上げることが何よりかと。お館様もそれを望まれていると思います」
「はい。そう致します」

「しかしながら、お辛いと思います。愛する人の苦しむ姿を見るのは、心臓が張り裂けそうになりますよね。どうかお一人で悩まずに、他の者に頼ってくださいませ。私はとにかくあまね様のお心が心配です」
「ありがとうございます」


あまねはぽろぽろと涙をこぼした。
琴音はずっと産屋敷耀哉を診てきた。あまねとも長い時間を過ごしている。今の状況下になってあまねが唯一弱音を吐ける相手が琴音なのだ。


「心配をかけてすみません」
「いいえ。とんでもない」
「ですが、私の体の心配は要りません。私は、耀哉様と共に参りますので」
「……………」
「共に参れば、夫君を失う事はありません。愛する人と逝けるのならば、この上ない喜びです」
「……………」
「ありがとうございます、夜月様」
「………はい」
「これまでのご助力、夫共々心より感謝致します」
「勿体なきお言葉を賜り、恐縮です」

琴音はあまねの背を擦っていた手を下ろし、手を付いて頭を下げた。

「本当は全力でお止めしたいところです」
「………夜月様」
「しかし、私にそのようなことを申し上げられるはずもございません」

琴音はあまねの覚悟を前に、畳についた手を握りしめた。

「それに、あまね様のお気持ちも良く解ります」

下げていた頭をゆっくりと上げ、諦めに近い笑顔を浮かべた。

「私も、愛する者とは共に旅立ちたいと思ってしまいますので。……女とは皆、そのようなものなのかもしれませんね」

あまねも涙で一杯の目で美しく微笑んだ。

「ふふ、そうですね」

二人はクスクスと笑った。


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