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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第25章 柱合会議


柱稽古の提案を黙って聞いていた義勇は、話が具体化し始めた辺りで立ち上がった。

「俺はやらない。失礼する」
「おいこら待てぇ、いい加減にしろ冨岡」
「隊の為に尽力するのが柱だろう。貴様は何故それをしないんだ」

帰ろうとする義勇に、またしても不死川と伊黒が不満の声を上げた。

「冨岡、理由を言え」

悲鳴嶼に言われて義勇は一度足を止める。

「柱稽古、なのだろう。ならば俺の出る幕ではない」
「出る幕もクソもねぇんだよ!やれっつってんだァ!隊士鍛えてテメエも強くなりやがれ!」
「俺は自己鍛錬で強くなる」
「柱としての責任はどうした。隊士を鍛え、守るのも柱ならば当たり前のことだ」
「関係ない」

再び喧嘩になりそうだったので悲鳴嶼が止める。
そのまま義勇はプイッと帰ってしまった。

「……仕方ない、冨岡抜きで話を進めよう」

ため息をつきながら、悲鳴嶼が話し合いを再開する。不死川と伊黒もまだ怒ってはいるが、大人しく会議に加わった。
当事者とはならない琴音としのぶも、概要を知るために会議には参加している。

それなのに、一人で帰ってしまう義勇……

どうしたもんかな、と琴音は思った。


会議が終わると琴音はあまねに会いに行った。

「夜月様」
「あまね様。お館様は……」
「もうお薬も飲めないのです」
「そうですか……」

琴音は「失礼します」と断りを入れてあまねの手首にそっと触れた。

「お館様も心配ですが、私はあまね様も心配です。あまりお眠りになられていないご様子。顔色も悪うございます」

脈もだいぶ弱い。琴音はあまねの顔を覗き込んだ。

「夜月様」
「はい」
「私は…どうすればよいのでしょう」
「あまね様……」
「日に日に弱りゆくあの方に、寄り添うことしか出来ないのがもどかしい。私は何もしてあげられない。代われるものなら代わって差し上げたい」

人前では常に冷静なあまねが、肩を震わせる。琴音はそっとその背中を擦った。

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