第25章 柱合会議
「本日の柱合会議、産屋敷耀哉の代理を産屋敷あまねが務めさせていただきます」
あまねが現れ、緊急柱合会議が始まった。全員があまねにむかって頭を下げる。
あまねは大規模な総力戦が近づいてきていることを皆に伝えた。つまり、最終決戦である。
そして内容は痣についてのものとなり、戦国時代からの鬼殺剣士と痣との関係を説明する。
初耳の柱たちが驚いた。
炭治郎に続いて痣を発現させた甘露寺は、あまねから話を振られる。しかし説明下手の甘露寺は頓珍漢な擬音を連発してしまい、会議の場が見事にシーンとなった。
皆がぽかんとする中、冷や汗を滝のように流して「穴があったら入りたいです」と深く土下座をする甘露寺。
無一郎が甘露寺の説明を補うように、後を引き継いでしっかりと答えた。痣が出たときの状況を細かく語った。
「その時の心拍数は二百を超えていたと思います。さらに体は燃えるように熱く、体温の数字は三十九度以上になっていたはずです」
そんな体温で動けるのかというしのぶの問いに、「そこで死ぬか死なないかが、恐らく痣が出る者と出ない者の分かれ道です」と無一郎は答えた。
義勇も最近高熱を出していたので、それがいかに尋常でないかがわかった。
それ故「そんな簡単なことでいいのかよォ」という不死川に「これを簡単と言ってしまえる簡単な頭で羨ましい」と挑発ともとれる発言をして反感をかった。
そして、あまねが痣者の強くも儚い運命を話す。痣が出た者は全員二十五歳を迎えることなく死ぬ――…
広間が静まり、会議が終わった。
琴音は甘露寺の後ろ姿を見つめる。隣の無一郎の気配も感じて膝の上の手をぐっと握った。
……二人は今、何を考えているんだろう
柱は皆、死ぬ覚悟などとっくにしている。しかし、こんな死に方など想定外だろう。突然己の命に期限を突きつけられたのだ。動揺しないはずがない。
何故なら、柱も人間なのだから。
それでも二人は逃れられない己の死を知っても、気丈にこの場に座っている。そして、この場にいる誰もが、この先迷わず痣を出そうと奮起するのだ。
それは琴音とて同じ。
……二人だけを死なせない。私も逝くよ
広間にいる者たちは、それぞれの心で改めて覚悟をした。