第24章 解禁※
義勇は布団を敷いてやる。
「もう寝ろ」
「義勇くんは?」
「俺はもう少し飲む」
「じゃあ、琴音も付き合う!」
「駄目だ。お前は寝ろ」
「なんでぇ?嫌いになったから?」
「違うと言ってるだろ……。おい、泣くな……」
酔っぱらいの相手は大変だな、と義勇は思う。普段見られない琴音の姿は面白くもあるが、サシ飲みなどしたことがない為、酔った相手をどう扱えばいいのかわからない。
泣きながらまた義勇の膝によじよじと登ってきた琴音をどうしたものかと考えた。
そこで一つ策を打つ。膝上の琴音の腰を両手で包み込みながら、彼女に話しかける。
「琴音、いい子で寝ないと……襲うぞ」
こう言えば大人しく布団へ行くだろうと思った。
しかし。
「いいよ?」
琴音は、当たり前でしょ?とでも言う感じに許可を出した。義勇は目を丸くした。
「……いい、のか?」
「いいよ?なんで?」
「………いや、お前が、駄目だと……」
「時間」
琴音が部屋の時計を指さした。時刻は深夜零時を回っている。安静期間は昨日まで、今日から解禁ということを言いたいのだとわかる。
それにしても、素面の琴音なら、こんなにあっさり承諾はしないだろう。
酒によった勢いで、というのは良くない。
良くないとわかってはいるが、一週間お預けをくらっている義勇。
心臓が高鳴るのを感じた。
「あー……でもお腹の傷、開いちゃうかなぁ」
「………大丈夫だ」
「痛い痛いなるよ?」
「ならない」
「んー……」
「痛いのはお前だろう。手も足も。何やってんだ」
「えへへ」
「俺が……痛みを忘れさせてやる」
義勇は畳に琴音を押し倒した。
「ふぇ?」
「身体の痛みも、……心の痛みもな」
義勇は琴音に口付けをする。
「全部忘れて、俺だけを見ていろ」
「義勇くんだけ?」
「そうだ」
「ん。わかった」
幼子のような顔をして琴音がニコリと笑った。判断力が皆無の者に手を出すのは正直忍びないが、義勇は欲を止められない。
……いっそ記憶が飛んでてくれたら
そんな事を思った。