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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第23章 上弦


半刻後。

義勇は普段の二倍くらいに目を開けて、己にくっつく琴音を見ていた。流石に驚きを隠せない。

盃に数杯飲んだだけで、彼女は酔っ払った。それは見事に。べろんべろんだ。弱いにも程がある。

「義勇くん!手が止まってますよ」
「あ、ああ」
「飲むんでしょ?飲むんだよね?琴音ちゃんが注いであげるー!!感謝しろー!!」

琴音は義勇にくっついたまま、酒瓶から盃に酒を注ぐ。

「いったぁ……」

怪我をした右手が痛んだようだ。酒瓶を落としそうになって、慌てて義勇が支える。

「大丈夫か?」
「いたぁい……もうやだ!なんで手ぇ痛いの、馬鹿!」
「なんでって、お前が」
「義勇くん!ごちゃごちゃうるさい!」

………想像以上の豹変ぶりだ

義勇は戸惑う。何より自分に腕を絡めて全然離れようとしない彼女。幼児化したかのように、ものすごい甘えん坊になっている。昔の彼女のように我儘全開だ。


「あのねー、義勇くんはねー、もっと喋った方がいいと思うの」
「善処する」
「That sounds pretty cool!」

異国語も沢山出てきて、義勇にはよくわからない。

「そしたらねー、お友達もいっぱい出来て、楽しいよ?」
「俺はお前がいればそれでいい」
「駄目!」
「何故だ」
「琴音が死んだらどうするのー?義勇くん一人ぼっちになっちゃうよー」

琴音は義勇の膝に乗り、両手を義勇の頬に添えて目を合わせた。

「もう一人になっちゃ駄目なんだからね」
「…………」
「琴音が居なくなっても、強く生きるんだよ」
「……お前が死ななければいいだろう」

琴音は潤んだ目で義勇をじっと見つめた。

「琴音は、死ぬよ」
「なぜだ」
「死ぬの。それは、別にいいの」
「いいわけないだろう」
「……死ぬの」
「…………おい」

確信を持って死ぬといい切る琴音に、義勇は途端に不安になる。義勇が何か言おうとする前に、琴音は義勇の頬から手を離して彼の首に抱きついた。

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