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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第23章 上弦


「飲むか」

座り込む琴音に義勇が語りかける。

「………え」
「煉獄にもらった酒を飲もう。共に」
「私、お酒は……」
「酌をしてくれ」
「安静期間でしょう」
「酒は百薬の長、だ」
「…………」

「お前の苛立ちも、酒に流せ」

琴音はゆっくりと立ち上がった。
まだ地面を見つめたままだが、「ごめん」と小さく呟いた。心配をかけていること、気を使わせていることに胸が痛かった。

義勇は彼女の頭をぽんと撫でて、家に向って歩き出した。気にするな、と言うかのようなその後ろ姿を見ながら、琴音は義勇に付いていった。


千代につまみを用意してもらって、二人は晩御飯兼晩酌をする。家につくと少し落ち着いた琴音だったが、普段のようには喋らない。珍しい琴音を見ながら義勇は酒を飲む。琴音は義勇の盃が空くと注いでくれた。

「ん」

義勇が琴音に酒の入った盃を渡す。
琴音はじっと盃を見た。

「私、酒癖悪いの」
「構わない」
「嫌われる」
「あり得ない」

少しの戸惑いを見せたが、琴音は盃を受け取ってちびっと飲んだ。

「……美味しい」
「味は好きなのか」
「うん」

またちびっと飲んで、美味しい、と少し笑った。
義勇は黙って減った分を注いでやる。

「……どうなっても知らないよ」
「構わない」

琴音は盃の酒をクイッと飲んだ。


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