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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第21章 天女


それから数日間、二人は忙しくてすれ違ってばかりだった。なかなかゆっくりすることも出来ないが、仕事に出かけるときなどに抱きしめ合うことが出来るので、やはり一緒に住めて良かったとお互いに思う。

そんな中、珍しく義勇が負傷して帰宅をした。重症ではないが、斬られた腹部は縫われ、包帯を巻かれている。
一週間の自宅安静となった。

義勇は布団で横になりながらぼんやりとする。
回復の呼吸をするが、不思議とぼんやりが抜けない。そのまま目を閉じた。



「……さん、……義勇さん」

琴音の声で目を覚ます。
彼女の姿が目に入ったものの、やはりぼーっとしてしまう。

「ちょこっと身体、起こせる?」

琴音は腹の傷に響かないよう、義勇の上半身を少し持ち上げ、折り曲げた数枚の座布団を背中の下に入れた。

「薬、飲むよ」
「………薬…?」
「解熱鎮痛剤と、化膿止め」
「…………」
「あのね。義勇さん今、高熱出てるの」
「……熱」
「ぼんやりするでしょ?熱が高いからだよ」

義勇は全く気付いていなかったので、くらくらする頭で驚いた。

「液体、粉、注射、座薬。どれがいい?特別に選ばせてあげる」

琴音が腹の怪我を確認しながらそう言った。少し笑っている。

「………液た」
「座薬ね。わかった。お尻出して」
「……おい」
「ふふふ、液体は苦いよ?大丈夫?」
「……口…移し」
「苦いから嫌」

琴音は笑いながら傍らの箱から小瓶を出した。湯呑に水を入れ、小瓶の薬を入れる。掻き混ぜて薬液を作った。薬液を吸い飲みに移す。

「さあ、頑張ろう」

琴音は義勇の身体支えて、吸い飲みから飲ませる。薬の苦さに眉を寄せる義勇。

「……苦い」
「言ったじゃん」
「もういい」
「駄目、全部飲むの」

義勇は仕方なく、言われるままに薬を飲んだ。
琴音は吸い飲みをゆすいで中身を水に変え、飲ませてやる。義勇の口の中の苦味が消えていった。

「偉い。飲めたね。お利口さん」
「……熱…が?」
「うん、毒由来じゃなさそうだから。傷から来てると思う。化膿止めも飲んだから、傷の治りと一緒に熱も下がるよ」

琴音は背中の座布団を外して義勇をそっと寝かせた。


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