第20章 愛の囁き※
琴音を着替えさせようとする義勇を振り切り、自力で寝間着に着替える琴音。義勇も自室で着替えてきて、枕を持って琴音の部屋へ来た。
義勇に誘われて二人で布団に入る。
「おやすみなさい、義勇さん」
「おやすみ、琴音」
布団に入ると、一気に身体のだるさが押し寄せてきた。義勇が琴音を抱きしめて髪を撫でる。
布団の暖かさと義勇の温もりの中、琴音は目を閉じた。
唇に柔らかい感触がして、再び目を開ける。
目が合うと、微笑みながら義勇はまた唇を寄せてきた。甘えるように琴音に口付けをする。
あんなにくっつきあって愛し合ったのに、まだ足りないというかのように義勇は琴音を求める。
言葉を上手く紡ぐことが得意できない義勇。
不器用な男は、同じ唇で言葉ではなく愛を示す。
彼女を気遣って、興奮を煽らないような優しい口付けを繰り返した。
口付けを交わしながら、琴音は薄っすらと目を開けて義勇を覗き見た。
義勇の顔は穏やかで、安心しているようだった。いつも目を釣り上げている義勇のこんな表情を見られるのは自分だけだと思うと、琴音は嬉しくなった。
しばらくそうしていると、義勇も疲れていたのだろう。琴音を抱きしめたままうとうとし始めた。
おでこをこつんと合わせたまま、二人は夢の世界へと入っていった。