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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第3章 戦いの先に


隠が二人の元へ到着した。
動けない義勇は背負われる。

「冨岡に飲ませた薬はこれです。お医者さんに渡してください。飲んだのは今から二刻前くらいです」

琴音は隠に薬の包を渡した。

「夜月はどうする?冨岡と共に療養するか」
「いえ、私はとくに負傷をしてませんので」
「だが、連続任務だったろう。次の指令がないのなら、休息をとれ」
「わかりました。では一緒に休憩所に行きます」
「うん。しっかり寝ろ」

義勇を背負った隠に並んで、琴音は山を下りる。義勇は疲れと体の不調から、隠の背中でうとうとしていた。

義勇が眠りにつくと、琴音はその寝顔を見る。

「あは、寝てると可愛い」
「お前な、冨岡が起きてたら怒られるぞ」
「なんでですか?」
「可愛いって言われて嬉しい男はいないの」
「そういうものですか」

そう言いながら、やっぱり可愛いと思う琴音。

……人のこと子ども子ども言いながら、あんただって寝顔は子どもじゃん

ふふっと笑みを零しながら、隠と琴音は小走りで藤の花の家紋の屋敷へ向かった。


医者に義勇を診てもらい、隠にお礼を言って、琴音は自分の寝支度を整える。
その間、義勇はずっと眠っていた。命に別状はないと言われたが、ふとこのまま起きないような気がして琴音は少しぞわりとした。
鬼に殺された兄と、目の前の義勇が重なる。

琴音は別室を用意されていたが、義勇が眠る部屋に布団を運び、隣にくっつけて敷いた。

「冨岡……、寝てるだけだよね?起きるよね?」

すやすやと規則的な寝息。
男にしては白すぎるその顔を、布団に座りながらじっと見つめる。

「死んじゃやだよ」

一人、呟く。


この日琴音は山の近くで任務にあたっており、仕事が終わるやいなやそのまま緊急指令を受けて現場に直行していた。
それ故、怪我はないものの、身体はくたくたに疲れていた。
しばらく義勇の様子を見ていたが、いつの間にか彼に寄り添うように眠っていた。

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