第20章 愛の囁き※
「大丈夫よ、抱いて」
琴音は穏やかに笑った。
「琴音……」
「痛いだろうけど、大丈夫。前のときも痛かったけどね、それよりずっと幸せだったもん」
義勇の体に手を回してぎゅっと抱きつく。義勇の鼓動も自分に負けないくらい激しくて、琴音は口元を綻ばせた。
「大丈夫。義勇さんだもん」
健気に笑ってみせる琴音に、義勇の胸がキュンとした。
「優しくする」
「うん」
「少し待ってろ」
「?」
義勇は前回使った敷布を出して布団の上に敷いた。
「もう出血はないと思うが、一応」
風呂といい、敷布といい、前回の反省点を改善していく義勇。義勇は琴音に向かって手を差し出した。
「これで安心して汚せばいい」
爽やかな笑顔を浮かべる義勇の手を琴音が取った。
「……こんな時にその男前な笑顔。ずるいよ」
「ん?」
「ずるいずるい!」
「なにがだ」
義勇は緊張気味の琴音を布団の上に連れて行った。座らせて口付けをする。
「……血の味がする」
「さっき切れた」
「今回は義勇さんが血ぃ出してんじゃん」
「汚れてもいい敷布だから大丈夫だ」
義勇は笑いながら琴音を抱きしめる。琴音の髪紐を解き、優しく撫でた。
「寂しかった」
「うん」
「ずっと抱きしめたかった」
「うん」
「好きだ」
「私も」
義勇は口付けをしながら、ゆっくりと琴音を押し倒した。
そのまま彼女の上に覆いかぶさって、会えなかった時間を埋めるように口を吸う。熱を帯びた琴音の唇を舌でなぞり、口内へと入っていく。お互いの舌を絡めると、待ち焦がれたその快感に興奮が三段飛ばしくらいの速度で高まる。激しい口付けが繰り返された。
「、…んっ、……はぁ…ん……」
琴音の口から艶やかな声が聞こえ、更に義勇の興奮を煽る。
余裕がなくなってきた義勇は、早くも胸へと手を伸ばした。
「ひゃっ、ちょ……んっ」
着物の上から彼女の胸を揉む。柔らかい胸の感触を布越しに感じて、もっと、もっとと思ってしまう。焦る気持ちを抑えられずに、義勇は琴音の帯へと手をかけた。