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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第20章 愛の囁き※


義勇の部屋でお茶を飲む。

………この流れは……

琴音は自分の胸が高鳴るのを感じた。
前回の情交の時と似たような状況だ。

義勇が琴音に向かって手を伸ばした。
反射的にビクッと身構えてしまう。

彼女の様子を見て、義勇は琴音に伸ばした手をスッと下ろした。
そしてそのまま無言で立ち上がり部屋を出ていった。


……え?


驚く琴音。
自分が拒否したと思われたのだろうか。

そんなつもりはなかった。しかし、前回の痛みを思い出して身体を固くしてしまった。それだけなのに。


少しすると義勇が部屋に戻ってきた。

琴音がおずおずと彼を見上げる。
義勇は琴音に近付いて、ちゅっと唇を合わせた。触れるだけの口付けをして、義勇は布団を敷き始める。


「風呂を沸かし直してきた」
「え?お風呂?」
「今からお前を抱く。……いいか?」
「え…と、」

布団を敷き終わった義勇が振り向いて、琴音を抱きしめた。

「怖いか」
「……少し」
「無理なら、いい」
「無理じゃない」

二回目でもおそらく痛みはある。
それでも、義勇は抱きたいと思った。

琴音と初めて情を交わしてから、義勇は夜に一人で自分を慰める回数が格段に増えた。
琴音の乱れる姿を知ってしまったから。吸い付くような琴音の体内を知ってしまったから……
それを思い出すと、どうにもならない程の熱が義勇の胸を毎夜焦がした。

しかし、女側はそうもいかない。彼女が知ったのは身体を引き裂かれるような痛みだ。
初回ほどの痛みは無いはずだが、それでも怖さは無くならない。それはまぐわいに伴う痛みが完全になくなるまで続くだろう。


琴音は義勇の腕の中で身を固くしていたが、意を決したように勢いよく顔を上げた。

「あのねっ!―…っ、」

その琴音の頭が、彼女の様子を覗き込もうとした義勇の口にゴツッと当たった。鈍い音がして義勇が口を抑え、琴音も頭を抑える。

「……いっ…たぁ」
「口の中……切れた」

痛みをこらえながら、何やってんだかと二人は思う。

「避けなさいよ、柱なんだから」
「急に動くからだ」

だんだんと笑えてきた。

雰囲気は台無しとなったが、二人の間にあった緊張が消えた。

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