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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第19章 死なせない


翌日の夕方、善逸が目覚めた。
痛み止めのせいか彼はまだぼんやりとしていたが、命に別状はないため琴音たちは胸をなでおろした。

「よく生きて帰ったね、偉いよ善逸くん」
「うん、本当、なんで生きてんだろ俺」
「それは君たちが頑張ったからだよ。頑張って助けあって必死で戦ったからだよ」
「うん。ありがと、琴音ちゃん」

琴音はずっと善逸の手を握りながら話をする。彼が生還したことが本当に嬉しかった。

「よかった……本当に……」
「えー……、そんなに喜んでくれるの?嬉しいなぁ。俺たち結婚する?」
「しないけど」
「ちぇ……」

いつもの善逸節も出て、琴音はホッとした。

「炭治郎たちは?」
「まだ寝てる」
「助かるんだよね」
「今、二人とも頑張ってる」
「宇髄さんは?」
「ご自宅で療養してるよ」
「……そっか」

善逸はぼんやりと天井を見上げる。

「俺ね、あんまり覚えてないの、戦闘中のこと。終わった時に気付いて、身体中痛くて、伊之助の心音がどんどん弱くなってって……、俺……動けなくて、なんにも出来なくて……」

喋りながらぽろぽろと涙を流し始める善逸。琴音は善逸の涙を拭きながら寄り添う。

「なにも出来ないなんてことはないよ。善逸くんがいなかったら、炭治郎くんも伊之助くんも、宇髄さんだって今生きてない」
「ううう……」
「頑張った。今はゆっくりお休みしようね」
「……うん」
「大丈夫だよ。きっとみんな帰ってくる」
「うん。ありがと、優しいね。結婚して」
「それは無理」

琴音が善逸の頭を撫でてやると、彼は目を閉じて眠った。全身ズタボロだが、彼の心音はしっかりとしている。
沢山の情報を持っているであろう善逸だが、まずは回復させる事が第一なので聞くのは後とした。

善逸が寝たあとも、琴音は優しく撫で続けていた。善逸の目から溢れる涙を拭いてやった。


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