第17章 同じ時を※
風呂が終わるとそれぞれの部屋に戻り寝支度をする。琴音は、義勇の部屋から持ってきた汚してしまった敷布をくるくると畳んで押入れの隅に置いた。
寝間着に着替えて布団に入る。
犬の人形を抱きしめながら目を閉じると、先程までの出来事がいろいろ思い出されてきて顔を赤くする。
「めちゃめちゃ痛かったけど、幸せだったなぁ……ふふ」
大人になったんだなぁ…などと考えていると、更に顔が赤くなってしまい、人形で顔を隠す。くすぐったい気持ちが胸に広がった。
そこへ「琴音、入るぞ」と義勇の声。
「え?」
戸を開けて、枕を持った寝間着姿の義勇が現れた。そのまま部屋に入ってきて、枕をぽんと布団の上に置いた。
「そっち移動しろ」
「え、え?」
「ほら」
義勇は琴音をぐいぐいと押して布団に入ってくる。琴音は半身起こした状態で義勇を見つめ、目をパチクリとさせている。
「え?」
「ん?」
「……一緒に、寝るの?」
「そうだ」
自分のスペースを確保した義勇は、布団にころりと寝転がった。自分の隣をポンポンと叩いて琴音を呼ぶ。
「えっ…と……」
「どうした。寝るぞ」
「……はい」
琴音は人形を抱きながらおずおずと身体を横たえる。義勇はじっと人形を見つめ、彼女の腕の中からすぽんと引き抜いた。
「あ!」
義勇は人形を布団の外、彼女の枕の上方に置いた。そしてそのまま琴音をぎゅっと抱きしめた。
「俺がいる」
一つの布団の中、義勇に抱きしめられている琴音。その状況に、真っ赤に染まる顔を両手で隠した。