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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第17章 同じ時を※


「泣くな」

慌てて義勇が琴音を抱きしめる。

「ううっ……ひっく……」
「ごめん」
「馬鹿。馬鹿柱」
「馬鹿柱はやめろ」

よしよしと彼女の頭を撫でる。義勇の温もりを感じて、琴音も少し落ち着いてきた。

「……いいのか?進んでも」
「大丈夫だもん」
「……………」
「あのね、私、今までに稽古で義勇さんにどれだけ叩かれて、ふっ飛ばされきたと思ってるの。初対面でも殴られてるし」
「………まあ、な」
「痛いのなんて慣れっこだよ。私も柱。強いのよ。舐めないで」
「……うん」

義勇も、少し笑った。
彼女の言葉のほとんどは強がりで、義勇を後押しするだけのものとわかっている。彼女は本当は怖くて仕方ない。その証拠に、ずっと手が震えている。

「それにね、これだけ痛いのって初めての時だけなんでしょ?……じゃあいっそ、それを楽しまなきゃ。初めては、一回きりなんだから。ね?」

琴音は自分に言い聞かせるかのようにそう言って、えへへと笑ってみせた。しかし、ちゃんと笑えていないのを本人はわかっているのだろうか。どこまでも健気な琴音に、義勇は胸が熱くなった。

「泣いちゃってごめんね」
「いい」
「私、泣き虫だから」
「知っている」

義勇は琴音の覚悟を受け取って、ゆっくり布団に押し倒した。
まだとろりと濡れている彼女の入り口に再び己をあてがう。

「琴音、ありがとう」

義勇は優しく笑った。

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