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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第17章 同じ時を※


「……琴音」
「なに?」
「お前を、抱きたい」
「……………」
「嫌なら、怖いなら、……我慢する。理性を飛ばしかけといてなんだが、無理強いはしない」
「……………」

琴音からの緊張が辛いほどに伝わる。おそらく彼女は初めてなので、恐怖もあるだろう。婚前交渉が良くないこともわかっている。
しかし、「やっぱりいい、止めよう」とは言い出せずに、返事を彼女に託して義勇は待つ。


少しすると琴音は義勇の着物をぎゅっと握り、意を決したように言った。

「や…、優しく…してくれる?」

その声は震えていた。そのいじらしさに胸が痛くなる。そして、初めてを捧げようとしてくれていることに強い喜びを感じた。

「優しくする」
「……うん」
「無理だと思ったら途中で止める。我慢せずにすぐに言え」
「うん」
「大丈夫だ」
「……はい」

義勇は畳んであった布団を広げる。琴音の手を取って連れていき、その上に座らせた。
不安そうな顔をして見つめてくる琴音の手をぎゅっと握る。

「そう緊張するな」
「だって……」
「怖いか」
「……怖い。だって、わかんないんだもん。は、初めて…だから」
「わかってる」

義勇は緊張で冷たくなっている彼女の手を温めるように両手で包み込む。

「熊さん連れてくるか?」
「犬!わんちゃん!」
「横に置いておいたら怖くないだろう」
「……いい!」

琴音はぶんぶんと横に首を振り、義勇の手を握り返した。

「私、子どもじゃないもん!」
「そうか」
「……それに、見られてたら恥ずかしいじゃん」
「そうだな」

義勇は赤みを帯びた琴音の頬にちゅっと口付けをした。

「子どもじゃないというなら……頑張れるな、琴音」

耳元で義勇に囁かれてゾクッとする琴音。その声は男の色気を含んでおり、琴音の中枢を刺激する。

琴音が覚悟を決めて頷くと、義勇はゆっくりと彼女を布団へ押し倒した。


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