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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


今日からここに愛しい娘が来る。
会えなかったこの期間、義勇はとても寂しかった。彼女がそうでもないような感じだったのが少々腹立たしいくらいだ。

掃除しながら、煉獄家の琴音の部屋を思い出す。ああいうものが好きなのか、と殺風景なこの部屋を見回しながら腕組みをした。


部屋を可愛くしたいなら、家具でも何でも好きなものを揃えてやる。俺にはさっぱりわからないが、欲しいものはいくらでも買ってやろう。
あいつが住みやすいように。長く住みたいと思えるように。煉獄家に帰ってしまわないように……

そんなことを考えながら、自分も相当甘いのだなと一人で苦笑いをした。



夕方に再び煉獄家を訪れると、琴音は部屋の中で荷物を纏めていた。

「用意は出来たか」
「もうちょっと」

共に来てくれる気はあるようで、義勇はホッとした。

琴音の準備を待っていると、廊下から千寿郎が義勇をじっと睨んでいた。

「なんだ」
「別に、何でもないです」

ムスッとしている千寿郎。義勇は何故睨まれるのかがわからずに首を傾げた。

「こら、千寿郎。客人を睨むな」
「父上。ごめんなさい」
「すまない、冨岡」
「いや」

会話を聞いていた琴音が、笑いながら千寿郎のところへ来る。

「あはは、千君。大丈夫だよ、またここにも来るよ。まだまだ師範にも千君にもお世話になる気満々なの、私」

にこにこと笑いながら千寿郎の頭を撫でる琴音。

「本当ですか?本当にまた来てくださいますか?」
「うん」
「別に琴音は嫁ぐわけじゃないんだ。そんな顔をするな、千寿郎」
「そうだよ?千君の甘味を定期的に食べないと、私死んじゃうもん」
「必ずですよ!兄上みたいに、突然いなくならないでください……」

目を潤ませる千寿郎を、琴音はぎゅっと抱きしめた。

「うん、大丈夫だよ。約束する」

落ち着かせるように優しく声をかける琴音を見て、義勇は千寿郎が何故睨んできたかを理解した。


……俺は、この家から琴音を連れ去っていく者、なのだな……

この家で琴音がどれだけ愛されてきたか。彼女がどれだけこの家を大切に想っているのか。寄り添い合う三人を見て、義勇は胸が痛んだ。

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