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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


琴音を布団に寝かせると、槇寿郎は愛おしそうに彼女を見つめた。

「冨岡。琴音が失礼した」
「いや」
「流石にこの子も、普段なら客人の前で寝るなんてことはしない。余程眠かったんだろうな。それと、相手がお前だったから気が緩んだのだろう。やはりお前は琴音にとって特別なんだろうな……」

槇寿郎は琴音の顔にかかった髪をそっと除けてやる。

「この子は、もうここに住んで六年だ。来たときはまだ小さくてな。夜、寝られない時は一緒に寝たりした。鍛錬は毎日頑張っていたが、甘えん坊だったな。俺には娘が居なかったから、可愛かった。本当に。瑠火、……妻も可愛がっていた。
俺がダメ人間になってからも、一切罵ったりせずに慕い続けてくれた。優しい子だ」

槇寿郎は目を細めて思い出すように語った。

「あんなに小さかったのに、こんなに大きくなって。立派に炎柱になって。……慕う男が出来たのだな」

琴音はすやすやと寝ている。不安も緊張も何もないような顔をして、安心をその身に纏って眠る。


「冨岡、お前に琴音を任せる」
「ああ」
「本当は杏寿郎の嫁にしたかったが、仕方ないからお前にくれてやる」
「…………」
「娘を頼んだ」

「はい」

義勇は槇寿郎に頭を下げた。


「……孕ませるなよ」

槇寿郎が付け加えて言ったので、思わず義勇は吹きそうになったが、すました顔で「承知している」と答えた。


琴音が寝てしまった為、義勇は一度自宅へ戻ることとした。夕方頃にまた迎えに来ると告げて去っていく。

果たして琴音は起きたときにこの一連の流れを覚えているのだろうか。彼女は部屋に来たときからぼんやりとしており、相当眠そうだった。そんな一抹の不安を抱えながら義勇は帰宅し、一ヶ月放置されていた彼女用の部屋を掃除した。

蜘蛛がいないかを入念にチェックし、庭の蜘蛛の巣も全て払った。

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