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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


「鍛錬はどうしたら…基本的には一人でやれますが……」
「必要なら隙間を見つけて俺が付き合う。炎の特性もだいたいわかっている」
「冨岡も忙しいでしょ」
「冨岡が大変で稽古がやれないときは家に来い。俺が相手をしてやる。相談もいつでも乗る。俺は暇だからな」


義勇と暮らす。

今までそれを考えないでもなかったが、とにかく目の回るような忙しさの中で彼の事を置き去りにしていたのは否めない。だから、こうして彼は動いた。琴音との時間を作るために。

琴音はその気持ちが嬉しかった。


「師範はどう思われますか?」
「いいと思う。明日死ぬかもしれない鬼殺隊士だ。共に過ごせるときは一緒にいたほうが良い」

二人の交際を確信し、容認する言葉を槇寿郎は言う。琴音がここへ来る前に、二人の状況を義勇がきちんと話したのだろう。
以前、槇寿郎は産屋敷に同様のことを書いた手紙を送っていたことを思い出した。

「わかりました」

そう言った琴音の身体がぐらりと揺れた。前に体を倒し、畳にぺたんと手を付く。

「お、おい、夜月」

義勇が慌てて彼女の体を支えた。

「冨岡のところでお世話に…、なります……」
「………眠いのか」
「眠い……も、無理……」

彼女は目をほとんど閉じている。体重を義勇に預けてこてんとよりかかる。

「こら、琴音。客人の前で失礼だ。部屋まで頑張れ」
「……し、はん、……ちょくちょく、来ます、からね……」
「………全く。この馬鹿娘が」

槇寿郎は寝てしまった琴音の身体を抱き上げた。言葉とは裏腹に、優しく、起こさないように。

「俺が」
「いい、俺が運ぶ。戸を開けてくれ」

義勇が戸を開け、槇寿郎の先導で琴音の部屋へと向かった。義勇は初めて入る琴音の部屋に少し緊張した。


彼女の部屋は意外な程に女の子風の部屋で、義勇は驚いた。棚には人形が並び、鏡台に掛けられた布はリボンやレースがついた可愛らしいものだった。

そしてその鏡の下に、懐かしい物を見つけた。
義勇が初めて琴音に買ってやった水色の結紐。十三歳の誕生日に贈ったそれは、ぼろぼろになりながらも綺麗な布の上に可愛く結ばれた形で置かれていた。今も大切にされているのだと知って、義勇は胸が熱くなった。

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