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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


琴音も帰ろうとしたところに、義勇が近付いた。

「あ。冨岡、お疲れ様」
「…………」

あれ、不機嫌だな、と思う琴音。

「……お前は、皆と仲が良いんだな」

ボソリと呟く義勇に、ああ、そういうことかと合点がいった。耳がいい宇髄が側にいないことを確認して、琴音は義勇に向けて囁いた。

「私が一番仲良しなのは冨岡だよ」

ほんのりと頰を染めながら笑う琴音。義勇を安心させるかのように、青い紐が彼女の頭で揺れた。
表情には出さないが、義勇は嬉しく思った。


「この後、どこかへ」行かないか、と言おうとしたが、「あ!ごめん!このまま蝶屋敷行って、しのぶちゃんとやりたいことあるの!最近薬作ってなかったから」とあっさり断られる義勇。

「じゃあね!冨岡!また!!」

手を上げて元気に走っていく琴音。深紅の羽織が揺れる。
まだ杏寿郎の四十九日も開けきっていない。だが、彼女は喪服を脱いだ。もう悲しむ期間は終わったのだ。止まっている時間はない。遠ざかる小さな背中がそう言っている気がした。


誘いを断られたのは寂しいが、琴音に元気が戻ったことに安堵をする。そこに少しでも己の存在が寄与していたのなら嬉しいと思う。

彼女ならきっと柱としてしっかりやっていける。

「頑張れ」

義勇はそっと呟いた。



しかし、それから琴音の生活が多忙になり、二人は全く会えなくなった。
琴音は任務と鍛錬に加えて、製薬の仕事も抱えているため毎日が大忙しだ。義勇の家に行く時間など皆無だった。


そして会えないままに一ヶ月が経とうとしていた。


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