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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第16章 一緒に


琴音は槇寿郎に修行終了を伝え、そのまま産屋敷邸へと向かった。

産屋敷家当主、産屋敷耀哉と面会をする。

「よく来たね、琴音」
「はっ。こうして拝謁出来ますことを心より感謝申し上げます」
「先日持ってきてくれた薬、とても良いよ。体が軽くなって動けるようになってきた。ありがとう」
「それは良うございました。蟲柱と共に、更なる改良に努めてまいります」

琴音は隊士向けの薬と並行して、当主の病の進行を遅らせられないかとそちらの薬開発にも携わっていた。しかし、産屋敷の病の元は呪によるものが強いため、あくまで対処療法だ。


「琴音」
「はい」
「杏寿郎の後を継いでくれるね。杏寿郎は凄い子だった。優しくて強くて、そして熱い。杏寿郎の後を継げるのは琴音しかいないんだよ」
「はい。謹んでお受けいたします」

「ありがとう。明日の会議で発表する。新たなる柱の誕生を皆に伝えよう」

産屋敷はにこりと微笑み、琴音は頭を下げた。

「時に琴音。今後の琴音の居住地だけどね。今のままでいいのかな?」
「え?」
「希望する柱には屋敷を与えているけれど、今まで通り炎柱邸でいいのか、それとも他がいいのか」
「無論、今までの居住地で私は構いません。稽古もできますし、そのままあの家に居られたらと思っております」
「実は槇寿郎が手紙を送ってきてね」

産屋敷の娘が琴音に手紙を渡した。琴音は拝して受け取り、読む。
手紙には、『琴音が望むのであれば拠点を水柱邸へ変更させてやって欲しい』との記載があり、琴音は慌てる。

「どうかな」
「あ、いや……その………、」

琴音は顔を赤くしながら手紙をたたみ、少女に渡す。産屋敷はにこにこしながら琴音を見つめている。琴音は高鳴る鼓動と動揺を抑えこんだ。

「これは、私の一存では決められませんので。水柱の都合もありますから」
「うん。今決めなくていいから、少し考えたらいいよ」
「はい。とりあえずは今まで通りで。もし変更があるようでしたら至急連絡致します」

緊急指令が多いため、柱の居住地は重要だ。数日間の外泊や移動ならば問題はないが、長期となると変更せねばならない。

「わかったよ」

産屋敷は穏やかに笑った。

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