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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第15章 星空の下で


琴音は部屋に戻ると身支度をした。
上着と羽織を着て、髪を高く結い上げる。布団を押入れにしまい、荷物を纏めた。

準備が出来ると義勇の部屋に行き、挨拶をした。

「お邪魔しました」
「……ああ」

寂しそうな顔をする義勇。
琴音はそれに対して何も言わず、頭を下げて玄関へと向った。

「また、いつでも来い」
「うん」

義勇を見ることなく、草履の紐を結ぶ琴音。

「………どうかしたか」
「別に、なにも」
「…………」
「じゃ、またね」

義勇は琴音の腕をぐいっと引いて、玄関に座らせた。

「なにも、じゃない」
「…………」
「どうした」
「…………」
「言わなきゃわからないだろう」
「……………」

琴音は俯いてしまう。義勇は黙ってしまった琴音をぎゅっと抱きしめた。

「言ってくれないとわからない。本当に俺にはわからないんだ。俺は……何か気に障ることをしたのだろうか」

義勇の悲しそうな声を聞いて、琴音も申し訳なく思った。自分の態度のせいで義勇に不安を与えてしまった。

「ううん、違うの」
「何がだ」
「私がいろいろ考えて、勝手に不安になっちゃっただけ。ごめんね」
「いろいろ……って何をだ」
「………………」

琴音は義勇の羽織を両手できゅっと掴んだ。

「教えてくれ」
「私だって、言ってくれなきゃ、わからないよ」
「……え?」

琴音は義勇の胸元に顔を埋めて、先程の義勇と同じことを言った。

「冨岡が、あまり喋らないことはわかってる。無理やり言わせることじゃないってのもわかってる。言わなくてもわかるでしょってのもあるんだと思う。でも………」
「……何のことだ?話が見えない」

「……………」
「…………琴音?」

少しの沈黙の後、琴音はポツリと呟いた。


「…………私、冨岡に『好き』って言ってもらってない」


義勇はハッとした。胸元にくっついている琴音を見つめる。

それか。
それで不安にさせてたのか。

何か嫌がることでもして早速嫌われたのかと思った義勇は、少しほっとして息を吐き出した。

義勇は、己の腕の中で俯いている少女の頭を優しく撫でた。

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