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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第15章 星空の下で


翌朝、日が昇っても起きてこない琴音。
部屋の外から何度か呼びかけたが全くの無反応だったため、義勇はそっと彼女の部屋を覗いた。
掛け布団もろくにかけずに、枕を抱きしめてすやすやと眠る琴音に苦笑いを浮かべる。

「おい、起きなくていいのか」
「……ん…」

側に座って声をかけるが、琴音は起きない。昨夜帰りたがっていたことから、おそらく今日は何か用があるのだろう。

「起きろ、夜月」
「んー……、もちょっと……」

琴音はころりと寝返りをうった。

「……起きないと、襲うぞ」

義勇が耳元でそう囁くと、琴音の危機管理信号が働いたようで彼女はガバっと跳ね起きた。

「ひぇっ…!………あ、れ?」
「起きたか」
「おはよう、ございます……えっと……」

まだ脳が覚醒しておらずぼんやりとしているが、昨夜の事を思い出すにつれて琴音の頬は赤く染まっていく。義勇のことをまともに見られない。

一方、義勇はなんでもないという顔をしている。いつも通りのすました表情。

それを見て琴音は目をパチパチさせた。


………ん?あれ?昨日のことは私の夢、だったのかな?

琴音は首を傾げた。


「どうかしたか」

義勇が不思議そうに聞いてくる。


……うん、そうだね。夢だったんだ。きっとそうだ。何だ夢か……

ホッとしたような残念なような、そんな想いを抱いていると、不意に義勇が琴音に近付き、ちゅっと口付けをした。


「ほら、ぼんやりしてないで身支度をしろ、琴音」


……ゆ、夢じゃなかった!!

「は、はいっ!お水、お借りします!」

琴音は顔を真っ赤にして、義勇からズザザザと離れ、手拭いを持って部屋から飛び出していった。


顔を洗いながら動揺を抑え込もうとする琴音。必死で呼吸を整える。
そして、自分はこんな状態なのに何故義勇はああも落ち着いていられるのだろうかと少し悔しく思った。

大人だから?
経験豊富だから?

それとも……

琴音は手桶にパチャン…と手を入れた。


ふと、思うことがあった。
琴音の顔が、少しの陰りを帯びた。

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