第15章 星空の下で
琴音はその口付けを受けながら、何故かぽろぽろと涙が溢れてきた。涙に気付いた義勇がそっと口を離す。
「何故泣く」
「わかんな……っ、……っく」
「嫌か?」
琴音はぶんぶんと首を横に振って否定する。
義勇は彼女の背中をそっと擦りながら、何かを考える素振りをみせた。
「………ぎみー…すまい……」
義勇が何を言おうとしているのかがわかって、琴音は泣きながら笑った。
「Give me your smile.」
「それだ」
義勇も笑う。笑いながら琴音の涙を指で拭ってやった。
「泣くな」
「悲しくて泣いてるんじゃないの」
「じゃあなんだ」
「嬉しくて。あと、幸せで」
「そうか」
義勇は琴音を強く抱きしめた。琴音は義勇の逞しい腕に抱かれて、泣きながら笑っていた。
嬉しいというのなら、幸せだというのなら、きっとそれは俺も同じかそれ以上だ……
義勇は琴音を抱きしめながら空を見上げた。
……煉獄、琴音は俺がもらうぞ
大切にするから
俺がしっかり守るから
どうか見守っていてくれ………
空の赤い星が瞬いた気がした。